カーボンナノチューブの
発見と液体内拡散への挑戦
カーボンナノチューブの発見と技術的難題
1991年、名城大学の飯島澄男教授が世界で初めてカーボンナノチューブを発見しました。鋼鉄の20倍の強度を持ちながら、銅の1000倍の導電性を持ち、しかも希硫酸を始めとする薬剤に対して耐性を持つ、非常に安定した物質です。瞬く間に様々な用途へ利用が始まり、各産業において技術革新を引き起こしました。
バッテリー業界も直ぐに着目し、大手バッテリーメーカーや大学が研究を重ね、鉛バッテリーに対する大幅な性能向上を引き起こせることを突き止めました。しかし、カーボンナノチューブは「液体内で凝集する」という特性があるため工業化が難しく、残念ながら鉛バッテリーへの適応は限定的となってきました。

カーボンナノチューブの主な特性
・高誘導率:銅の約1,000倍
・高融点:3,000℃度以上(無酸素状態)
・化学的安定性:化学反応に対して安定
・高耐食性:耐食性に優れている
・小サイズ:約50nm
世界初!カーボンナノチューブの液体内安定拡散を実現!
開発者はかつて西日本の工場の機械設備を担当し、日々、顧客回りをしていたのですが、その時に殆どの工場が電動フォークリフトの鉛バッテリーへ大きな問題と不満を抱えていることを知りました。
フォークリフトのオーナー達は高額の鉛バッテリーを4年サイクルで交換しており、さらに大量の廃棄物を生み出すことへ問題意識を持っていました。そのため、開発者は鉛バッテリーのリフレッシュ、そして寿命延長には大きなニーズがあると理解し、解決策となる技術を世界へ求めたのです。
その後、カーボンナノチューブの可能性に出会い、そして「液体内拡散」の実現へチャレンジし、世界で初めて実用化へ成功したのです。

ナノカーボンを用いた類似商材と、COREDZを比較した写真です。COREDZが液体内に安定して拡散するのに対し、他商材は全て凝集し、水面もしくはみな底へ集まってしまいます。カーボンナノチューブを液体内に拡散させられるのはCOREDZのみであり、この特性が鉛バッテリーへ適応する上で、非常に重要な技術なのです。

なぜ鉛バッテリーは劣化するのか
放電時における硫酸鉛結晶の生成
鉛バッテリーは放電時に硫酸鉛が電極の表面に生成されます。硫酸鉛は結晶構造をとると不導体と化し、充電をしても分解されなくなってしまいます。鉛バッテリーが充放電を繰り返すと、徐々に不導体と化した硫酸鉛結晶が蓄積し、やがて鉛バッテリー自体へ電気が流れなくなってしまうのです。

鉛バッテリーの交換理由のおよそ90%は硫酸鉛結晶が原因
10%
物理的劣化
振動やショック、過放電、過度な暑さ寒さが原因
➡ 再生不可
90%
化学的劣化
サルフェーション(硫酸鉛極板への結晶化)が原因
➡COREDZで再生可能
なぜCOREDZは
バッテリーを回復できるのか
1
炭素は電極の性能を向上させる
鉛電極へ炭素粒子が付着すると、誘導起電力が発生し、電極の電圧が上昇します。炭素粒子は導電性が高いため、電極の抵抗値を下げ、より電流を流れやすくするなど、様々な効果があります。この効果自体は既に一般的であり、様々な研究機関が炭素粒子の電極に及ぼす影響について分析し論文を発表しています。
参考文献:GSユアサ「硫酸鉛の電気化学的還元においてカーボン粒子が果たす役割の解析(Analysis of Role of Carbon Particles in Electrochemical Reduction of Lead Sulfate)」
2
カーボンナノチューブの特性
鉛バッテリーの電極へ、より導電性が高い物質を利用できればバッテリーの性能が向上することは分かります。しかし、電解液に希硫酸を用いているため、殆どの金属はあっという間に腐食してしまい、使用できなくなってしまいます。銀やプラチナといった安定素材を使うことも考えられますが、その場合はコストが大幅に上昇し、今度は販売できなくなってしまいます。
それに対し、カーボンナノチューブは金属以上の導電性や耐久性がありながら、炭素であるために希硫酸に対する耐腐食性まで備えています。この特性が、鉛バッテリーの素材として相性がとても良いのです。
3
COREDZが導電パスを形成する
鉛電極の表面には、鉛や二酸化鉛の結晶、そのくぼみ等が無数に形成されています。一方、不導体と化した硫酸鉛結晶も無数に形成されています。それらに対してカーボンナノチューブは遥かに小さいため、隙間へ入り込み、新たに導電パスを形成することができます。
カーボンナノチューブによる導電パスは銅の1000倍の導電性があり、これまで電気が届かず、不導体と化してしまった硫酸鉛結晶へ潤沢な電気を供給します。それによって、再び硫酸鉛結晶の還元反応が可能となり、鉛及び二酸化鉛へと変化させられるのです。
